徒手空拳

念願の大濱道場門下生の全日本制覇が実現した。しかも決勝戦での兄弟対決の末である。

全日本での決勝で、兄弟の優勝争いは44回を数える大会史上初である。決勝戦での兄弟対戦は、島本兄弟の子供のころからの夢であった。ついに実現した。第24回全中国空手道選手権大会で、決勝対戦は一度経験してはいるが、全日本でこそ念願だった。結果は弟の雄二が勝利したが、満身創痍の兄一二三は、弟雄二の待つ決勝戦へ精神力で勝ち上がってきた。試合2週間前の靭帯損傷。出場すら危ぶまれる状況の中で、決勝戦で雄二の前に立ったのは、兄一二三の超精神力である。空手修業の中で学んだ肉体を精神力で動かす。意志の力で動かす。このことを具現した結果である。そのことをよく理解している弟雄二は、試合後のインタビューの中で「まだまだ兄ちゃんには及ばない」という発言をしたが、謙虚さと兄への畏敬の念がこの言葉になったのだろう。

ともあれ、島本兄弟の達成した快挙は、極真カラテの金字塔であり、新しい時代の到来でもある。「精神」つまり心のありようで人間は行動が変わり、結果も変わる。古来、日本の歴史の中で養われたこの心の在り方「精神」というものが、戦後のアメリカの日本骨抜き政策によって失われ、日本古来の良き文化が消滅しようとしているが、空手はその失われようとしている精神文化を守る最後の砦である。日本人の若者の多くが価値観を見失っている現代において、心技体のバランスと向上こそが目的の空手という武道は、これからの日本の将来に絶対という言葉を使っていいほど必要な世界であろう。

「民主主義、自由主義」という偏重した誤った自己主張ばかりの日本社会において、これからは「責任と義務」という本来の意味での調和のとれた民主主義、自由主義社会を築くに、この武道の果たす役割は非常に大きいのである。国家100年の計を考えるならば、今の日本の置かれている立場、状態を、国民一人一人が考え、理解し、判断しなければならぬ時期が目の前に来ていることを自覚しなければならない。

言えることは、今の為政者、政治家では国の舵取りをすることが出来ないということだ。ならば自覚した我々が、少しづつ社会の意識を変革しなければならないと思う。

島本雄二、島本一二三、優勝・準優勝本当におめでとう。次は世界だ!

 

極真史上初! 決勝兄弟対決

島本雄二初優勝おめでとう!

44回を迎えた、全日本空手道選手権大会で、前人未到の島本雄二、島本一二三の兄弟による決勝戦が行われた。結果は弟雄二に軍配は上がったものの、兄一二三の精神力、心の在り方は優勝に劣らぬ存在感を示した。その「心が身体を動かす」を実践した兄の一二三の強さを、弟の雄二は「まだ兄ちゃんを超えていない」という言葉で表現した。

なお二人は来年4月13、14日リトアニアに於いて行われる、第5回カラテワールドカップ2013に出場が決定している。

島本兄弟に続いて、大下郁真もワールドカップ中量級出場が決定した。

 

風 雅遊